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    【総合社会学科】< コラム >ホタルは清流に

     

    【2020年5月29日】

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    神戸山手キャンパスに沿って流れる宇治川では、2002年から毎年5月下旬にゲンジボタルの飛ぶ姿が見られます。その時期は、夕方よりキャンパスを開放して近隣を含めた多くのひとに観察していただいています。そのときしばしば聞かれることは、「宇治川の水質はきれいなのですか?」あるいは「水がきれいだからホタルが飛ぶようになったのですか?」という質問です。水面を清らかに飛ぶホタルの姿を見ると、その幼虫が生息する川の水もきれいなのだろうと思われるのでしょう。
    また、Googleで「ホタル+清流」という検索をすると8万件以上のサイトがヒットします。このように、ホタルは清流のシンボルとして、古くは万葉の時代から私たち日本人に親しまれてきた昆虫です。ホタルの姿を見ることが希になった原因として、水質が悪化したことも含まれることは確だろうと思われます。しかし、実際にはゲンジホタルは河川の水質に対してそれほど敏感ではなく、むしろきれいな清流ではあまり見られないのです。

    津田松苗編 "汚水生物学" (北隆館)による生物学的水質判定では、ゲンジボタルの生息域の水質は「中程度の清冽」または「やや汚れている」というレベルであり、環境省環境管理局水環境部企画課の運用するホームページ「全国水生生物調査のページ」の水生生物による水質判定でも、ゲンジボタル等が出現する河川の水質は「水質階級II 少し汚れた水」に区分されています。また、実際に宇治川でホタルの出現した場所の水質を検査したところ、水浴(風呂の水に使うこと)にも不適とされるレベルであり、下水道整備の進んだ都市環境での河川としては特別に清浄な水質というわけではありません。

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    ホタルが育つためには、幼虫の餌が必要です。ゲンジボタルの幼虫はカワニナという巻貝だけを食べます。そのため、ゲンジボタルが生息するためには、餌となるカワニナが必須であり、そのカワニナの餌となる珪藻などの藻類が必要となります。いわゆる清流では、十分な藻類が育たず、カワニナもゲンジボタルも見られません。ゲンジボタルとカワニナはミネラル分や有機物を含む「汚れた」水質の下で発生した藻類によって支えられ育っているのです。実際に、水質があまりきれいでない市内の河川でもカワニナの姿はよく見られます。


    それでは、なぜ宇治川だけにゲンジボタルが飛ぶようになったのでしょう。神戸市内の多くの河川は、治水のため河川の三面(底面および両側面)が石またはコンクリートで固められています。ゲンジボタルの幼虫がサナギになるためには、水辺から上陸可能な範囲にもぐりやすい柔らかさの土が必要なのです。三面が石などで固められた河川では、ゲンジボタルの終齢の幼虫が上陸するのに適当な土が得られないのす。神戸山手キャンパスに接する宇治川河川敷では、花崗岩による石組みの底面から30cm程度の土がたまり、上陸してサナギになる場所が確保されているのです。それ以外にも、さまざまな条件が重なって、本学キャンパスに沿って流れる宇治川とその河川敷は、図らずも上述のようなゲンジボタルが生息できる環境が整い、ゲンジボタルの発光・飛翔が見られるようになったのでしょう。


    ゲンジボタルが飛ぶためには、水質に加えて河川の形状・周辺の地形などが重要な条件であろうと考えられます。このような生き物の生態を理解するとともに、広く生物を育む環境についても理解して、ゲンジボタルを保護していきましょう。

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    【 現代社会部 総合社会学科 吉岡 英二 教授 】

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