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    【学長室】2019年度学位記授与式 学長式辞

    学位記授与式写真

     尼崎キャンパス及び三木キャンパスの卒業生の皆さんご卒業おめでとうございます。修士号、学士号の学位を受けられたことを心からお祝い申し上げます。


    さて、いつもの学位記授与式とはかなり異なった形で式を行うことになりました。学位記授与式を中止する大学が多い中、午前と午後4グループ2回に分けて開催したことは、皆さんにとっての成長の到達点、着地点であるこの節目を明確に体験し記憶に留めてほしかったからです。明治以降の現代の学校教育制度ができて以降、卒業式が中止されるということはそう多くはなかったと思います。中止は大学の歴史を見れば、第2次世界大戦中の学徒動員、1968~1969年の学生運動、2010年度の東日本大震災の過去3度くらいしかなかったと思います。この事態は、戦争や大規模自然災害とならぶ社会や国家を分断する大きな危機とも言えます。例年のように卒業生、保護者の皆様、来賓の皆様と一同に集い、卒業生はアカデミックガウンを着用し、一人ひとりへ学長から学位記を手渡し握手で送り出す、といったことがこのような状況においては見送らざるをえませんでした。分散・短縮という形ではありますが貴重な一日となることを願います。我々としては、大変心苦しく思いますが精一杯見送りたいと思います。


     昨日で東日本大震災発生から9年が過ぎました。亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈りいたします。報道では毎日のように世界各地で新型コロナウィルス感染症による死亡者の情報を耳にします。昨日世界保健機関(WHO)が新型コロナウィルスは“パンデミックである”との見解を示しました。今後どのような広がりを見せるのか不明であり、東京オリンピック・パラリンピックも中止か延期かとの議論が飛び交い、予定通り実施できる可能性が日に日に下がってきている状況です。東日本大震災や阪神・淡路大震災は、あっという間に多くの人の命を一瞬で奪いました。しかし、新型コロナウィルス感染症は対策や予防、心の準備など、現段階でもまだ出来ることがあるのではないでしょうか。我々はこれまでも多くの大規模自然災害を乗り越えてきました。皆さんも、困難にめげず前に進んでいただきたいと思います。

     また、こうした現況は感染症による被害だけでなく、社会の中に潜在していた問題や課題が表面化しやすい状態でもあります。第1に“グローバル化”についてです。国や民族といった壁を越えて地球規模で物事を考え、持続可能な世界をつくるために共通の課題に取り組むことが叫ばれていました。しかし今回、属性によって人を差別し、迫害するなど誠に残念なケースが報道されました。
     第2に“科学的な根拠や論理的な裏付けがない噂やデマ”に振り回された光景が散見されました。子供たちに「あのようになりたくない大人の姿」を見せなければならないことは非常に辛く残念なことです。
    こうした騒動が始まった初期段階を思い出して下さい。中国の武漢で感染が確認された頃、日本もこうした被害に巻き込まれるとは想像しなかったかもしれません。中国に対する偏見、漠然と日本は安全で中国人は危険、など自分たちは大丈夫という前提に立ってものを見てはいなかったでしょうか。しかし、徐々に日本や日本人が危険視され、差別や迫害を受けるケースも発生しました。しかし冷静に考えてみましょう。病気にかかった人は罪を犯したのでしょうか。こうした偏見や差別を受けることは正当化されるのでしょうか。
     医療従事者や最前線でこの事態に立ち向かう人々やその家族が、偏見や差別を受けることは断じて許されることではなく、非常に悲しい事なのです。皆さんにも偏見や差別は許されないという気持ちをもってほしいと思います。


     ノーベル平和賞を受賞したアメリカの公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師はこう述べています。「私たちは、限りある失望を受け入れなければならない。しかし無限なる希望を失ってはならない」。
    グローバル化というが、同じ事象も東から見るのと西から見るのでは違って見えることがたくさんあります。相手の立場に立つとは、情緒的な意味だけではなく物の見方において逆の立場から考えることであり、それが求められる時代、それがグローバルな社会です。私たちに求められるのは、希望を忘れず、筋道を立て、科学的な根拠や理性に基づいて「自ら考える」ということではないでしょうか。「人間学」では様々な角度から人間や人生について考えることを求めました。グローバルスタディ、コミュニティスタディ、各種の実習など現場での体験学習からの気づき、専門教育を通じての科学的なものの捉え方、これらが皆さんの「考える力」を育ててくれたと信じたいです。
    「パスカルの定理」でも知られるフランスの哲学者パスカルは、「人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だがそれは考える葦である」という言葉を残しました。人間は孤独で弱い、しかし考えることができることにその偉大さと尊厳があるとしました。皆さんにも「自分の頭で考える=〈思考する存在〉としての人間」であってほしいと願うばかりです。


     我々はKUIS学修ベンチマークに掲げた6つの力を身につけてほしいと呼びかけてきました。「自立性」これは主体性と言い換えて良いと思います。「みんながするから」、「しかたないから」と生きていくのか、自ら考えて「私を生きる」「私らしく生きる」と道を切り拓いていくのか。それは皆さんにとっての“責任”です。主体的に生きることは、他人任せ、自分で考えないという生き方とは違います。自らの可能性に自らが責任を持つということを意味します。失敗しない人生、悔いのない人生というのは現実には難しいことです。しかし、「私を生きる」という皆さんであってほしい、自ら考え、自ら主体的に生きる存在であってほしいのです。自らの可能性に向けての責任と、無限の希望を持ち続け、主体的に考え前に踏み出す人間であってほしいと願います。卒業おめでとうございます。



    2020年3月12日

    学長 濱名 篤

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